昨年読んだ本で面白かったのは鳥類学者川上和人さんの『トリノトリビア』(株式会社東西社発行)だった。
「はじめに」の部分で川上さんが鳥はいまだに謎に満ちた存在だと言っているがその通りだと思う。その謎を実に愉快に解き明かしてくれている。文章が軽妙で、わかりやすくて、読みながら心の「へぇ~」ボタンを押しまくった。
さらにこの本にはマツダユタカさんのマンガが付いているが、このマンガの鳥たちが実に親しみやすく愉快なのだ。
当事務所のシンボルのカワセミは2回登場している。それを紹介したいと思う。
その1「カワセミは魚をさしだしプロポーズ」(以下3章鳥たちの恋愛事情より抜粋)
カワセミのオスは、繁殖期には魚を捕まえてメスに渡します。メスはオスが気に入ると魚を受け取って交尾が行われます。オレって、こんなにじょうずに魚が取れるんだぜ! というアピールと同時に、これから卵を産み、抱卵するメスの栄養補給もできてしまう、一石二鳥の求愛です。しかもメスが食べやすいように、捕らえた魚をぴったんぴったんと止まり木に叩きつけて動きを止め、飲みこむときにうろこが引っかからないように、ちゃんと頭をメスに向けて渡します。何というやさしさ、なんという細やかな心づかいでしょう。(P100 ~101)
それを証明する写真を探してみたら、このとおり!
多摩大学大学院教授の田坂広志氏が自分の中に静かな自信が実ったとき、自然に現れてくる資質,それが謙虚さだと、「風の便り159便」で語っているが、やさしさや細やかな心づかいも同じではないだろうか。
カワセミは英名ではKingfisher. 自信に満ちた王の資質なのだろう。
その2「カワセミの脚は極端に短い」は次号に続く。