堀内法律事務所のブログ「止まり木」にようこそ。

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庭の一年リレー

庭の一年リレー

 

南の窓を開けたら、梅が一斉に花を咲かせていました。いよいよ我が家の庭のリレーがスタートしたようです。
それではここから実況中継を始めます。
第一走者の梅は区の緑化キャンペーンのときに苗をもらったものです。町内会長さんが、
「この辺りは梅に適した土地だから、すぐ大きくなって花をいっぱい咲かせてくれますよ」と、ニコニコしながら渡してくれました。
見回せばご近所のどの家にも梅の木があり、二月になると可愛い花を咲かせています。遠い昔、ここは梅の里だったのかもしれません。
会長さんのお言葉どおり、我が家の梅はすくすく育ち、毎年真っ先に春を告げてくれます。

第二走者は、沈丁花と雪柳です。仲良く並んで、春の舞台に登場します。沈丁花は甘く上品な香りを放ち、雪柳は目映いほど白いレースをまとって、互いに春の訪れを喜び合っているようです。

その共演を横目に、じりじりと出番を待っているのが第三走者のサツキツツジと山吹です。五月が近づくと一気に咲きだします。サツキの赤い花を見ると、子供の頃に母に着せてもらった着物を思い出し、胸がほっこりします。

山吹の花言葉は「金運」。鮮やかな黄金色の花が小判を連想させ、庭に植えると金運を呼び込む開運花と言われています。もっとも我が家の山吹は未だ本領を発揮してくれていません。それでも期待だけは毎年ふくらみます。

この二本の頭上を見上げると、三本の木が懸命に花を咲かせています。コナラ、エゴノキ、ヤマボウシ。どれも我が家のシンボルツリーです。

コナラは一本の木に雄花と雌花が咲きます。新しい枝の下に黄色い雄花が垂れ下がり、葉の付け根に赤い雌花がちょこんと咲きます。図体のわりに雌花があまりに控え目なので、そのギャップに思わず笑ってしまいます。案外照れ屋なのかもしれません。

コナラの隣はエゴノキです。スズランのような白い小さなベル型の花が、ぎゅうぎゅうに寄り添って咲きます。もし風に吹かれて一斉に鳴りだしたら、町内中に響き渡る大合奏になるでしょう。

エゴノキから少し離れたところに佇んでいるのはヤマボウシです。十字架のような白い清楚な花を咲かせ、秋には赤い実がなり、そして紅葉も目に鮮やかです。一本で三度楽しませてくれる、サービス精神が旺盛な木です。花言葉は「友情」。ヤマボウシは私の親友です。

爽やかな初夏はあっと言う間に過ぎ、雨の季節がやってくると、紫陽花たちがバトンを受け取って走り出します。

我が家ではヤマアジサイ、カシワバアジサイ、ガクアジサイの三種類が咲きます。ヤマアジサイはすみっこでひっそりと。それに比べてカシワバアジサイは毎年大騒ぎです。ピラミッド型の大きな花が重たげに垂れ下がり、今にも倒れそうでハラハラします。悩める哲学者たちのように見えるので、私は添え木をしながら、
「先生方、そんな簡単に物事の本質はつかめませんよ」

と、つい声をかけてしまいます。

ガクアジサイは鉢植えから庭に移したら、しっかり根付いてくれました。
正岡子規の俳句に、

「紫陽花やきのふの誠けふの嘘」

があります。

刻々と色を変える紫陽花に人の心の移ろいやすさを重ねた句ですが、私は雨に打たれながら凛と咲いている姿に、むしろ勇気をもらいます。

最近の夏は息をするのさえうんざりする猛暑です。そんな中でも白花萩だけは、暑さに抗うことなく、玄関の横で黙々と小さな白い花を咲かせ続けてくれます。おかげで暑さが少し和らぐ気がします。

厳しい夏がようやく往くと、どこからともなく甘い香りが漂ってきます。花より先に匂いで秋を知らせてくれる金木犀です。庭の東側で二本の金木犀がオレンジ色の小花を咲かせ、まるでデュエッとするように香りを放ってくれるのです。ミュージシャンに例えるなら、私の好きな2CELLOSのような絶妙なコンビネーションです。

やがて冬将軍が到来すると、リレーもついに最終走者となります。アンカーはサザンカです。ツバキと間違えそうですが、花びらが一枚ずつ落ちるので見分けがつきます。とても潔い花で、鮮やかな紅色の花をぱっと咲かせては、ぱっと散り、また次々と花を咲かせます。冬枯れの庭を明るく彩って走り続けてくれる頼もしいアンカーです。

こうして我が家の庭の、一年リレーは幕をとじます。

ふと南側の梅に目をやると、次のリレーに備えてもう蕾を膨らませていました。

(追伸:庭の広さはご想像よりずっと狭いです。悪しからずご了承ください)

 

   

エゴノキ             カシワバアジサイ

 

サザンカ

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