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渓流の宝石・カワセミに魅せられて

 みなさんは、カワセミをご覧になったことはありますか。
 一年を通して日本中に生息しているはずですが、その美しい姿を直にご覧になったことがあるという方は、実はとても少ないかもしれません。

 本日は、当事務所のトレードマークでもある「カワセミ」について、動物写真家・嶋田忠さんの絵本『カワセミ 青い鳥見つけた』(新日本出版社、2008年)をたよりにご紹介します。

カワセミ1

  『カワセミは「青い宝石」といわれる、とてもきれいな鳥です。
  日本中の川や湖などにすんでいるけれど、
  すがたを見ることはなかなかできません。』(『カワセミ』より、以下『 』内同様)

 小さいころは野鳥を捕まえて遊んでいたという嶋田さんは、図鑑をひらいては、いつか本物のカワセミを見てみたいと思っていたそうです。そして大学生3年生の冬、長野県の川で1日中カワセミを探しまわっていた嶋田さんに、ついに運命の時がやってきました。

  『その鳥はものすごいスピードで下流へと飛んでいってしまいました。
  あっという間のことでしたが、ぼくにはすぐにカワセミだとわかりました。
  あのとき見たコバルトブルーの色とすがたは、
  今でもはっきりとおぼえています。』

 もっとちかくでちゃんと見たいと、あちこちにカワセミ探しに出かけているうちに、嶋田さんは、少しずつカワセミのことがわかってきたそうです。

 例えば、カワセミは1羽ずつ「なわばり」をもっていて、しげみの中でじっと休んでいるときは、まわりの色にまぎれて目立たないこと。なわばりの中には、魚がとりやすい「えさ場」があり、いつも決まった場所にとまって魚が水面近くに上がってくるのをじっと待つこと。ちょうどいい場所がないときは、ヘリコプターのように空中で停止して魚をさがすこと。

カワセミ2

 しだいに水中で魚をとる瞬間が見てみたいと思うようになった嶋田さんは、国内外の様々な本を探しましたが、ちっとも見つかりません。

  『もしかしたら、だれもとったことがないのかも。写真がないのなら、自分でとるしかない。』

 それから嶋田さんの試行錯誤の日々が続きます。どうしたらカメラが水に濡れずにすむか、警戒心が非常に強いカワセミにどのように近づくか、水に飛び込んでから出てくるまで1秒もかからない彼らの早技をいかにカメラに収めるか・・・。

  『カワセミにあこがれて、
  カワセミのことをもっと知りたいと思って、
  写真をとりつづけているうちに、
  ぼくは写真家になっていました。
  カワセミが、ぼくの写真の先生だったのです。』

カワセミ3

 絵本の中には、岩場で羽を休めている様子や、じっと水面を見つめて「狩り」の瞬間をねらっている様子はもちろん、嶋田さんが恋焦がれた、カワセミが水中に入る瞬間から、魚をとらえ、再び空へ飛び立つまでの一瞬一瞬を丁寧にとらえた様子など、とても美しく、貴重な写真がたくさんつまっています。

 ご興味がある方は、ぜひ手にとってご覧くださいね。

★豆知識
 宝石のヒスイはカワセミの羽の色に由来して名付けられたということは、ご存知の方も多いでしょう。カワセミを表す漢字は、「翡翠」のほかに「川蝉」「魚狗」「水狗」「魚虎」「魚師」など、たくさんあります。
 ちなみに「魚捕りの名手」ということから、英名では「キングフィッシャー」と呼ばれているそうですよ。

★嶋田忠さんのHPは こちら
 素敵な写真がたくさんご覧いただけます♩

「動物写真家 嶋田忠さん 追憶の風景 武蔵野(埼玉)」(朝日新聞HPより、2009年9月26日)
 嶋田さんがどのように写真家を志すようになったかなどについて、ご自身の言葉でご紹介されています。

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