みなさま、こんにちは。当事務所のブログ「止まり木」をご覧頂き、ありがとうございます♩
これから事務所スタッフ(+α)が、身近な四季の風景や、事務所の風景、思い出の風景などを、少しずつこちらのブログでご紹介していきます。お楽しみ頂ければ幸いです。
さて、最初の記事は、おすすめの本のご紹介です。
「ないもの、あります」
ちょっと不思議な見出しが興味をそそるこの一冊。『博士の愛した数式』『ミーナの行進』の著書で有名な小川洋子さんと、独創的な作品で読者を魅了する吉田篤弘さんと吉田浩美さんによる制作ユニット、クラフト・エヴィング商會の共著です。
ご興味お持ちでしたら、ぜひ読んでみてください。
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『注文の多い注文書』
小川洋子(著)クラフト・エヴィング商會(著)(2014、筑摩書房)
様々な事情を抱えた5人の依頼者が、ちょっと変わった探し物を、クラフト・エヴィング商會に依頼します。
5人に共通しているのは、探し物が“本”にまつわる品物であること。
題材となっている小説は、川端康成『たんぽぽ』、J.D.サリンジャー『バナナフィッシュにうってつけの日』、村上春樹『貧乏な叔母さん』、ボリス・ヴィアン『うたかたの日々』、内田百閒『冥途』の5つです。ただし、これらの小説を読んでいなくとも、全く問題はありません。
5編の物語は、それぞれ、小川洋子さんのちょっと不思議な「注文書」に、クラフト・エヴィング商會が更に不思議な「納品書」で答え(写真入り!)、それを小川洋子さんが「受領書」で完結させる-というかけあいになっています。
どちらの書面も、静謐な文章ながら、とても味わい深く、なんでもない文章までとても素敵です。第1編の冒頭で、「時々目医者さんで一緒になる、指圧師のおじいちゃん」という文が出てきたとき、しばらくその頁に留まって、「おじいちゃん、目が悪いのに指圧師続けてて偉いなあ、でもちゃんと突けてるのかなあ」なんて考えていました(しかも、そのおじいちゃんはもしかしたら・・・)。
ないことの証明は難しい、それならば、それはきっと、どこかにあるんだ。
立証責任云々・・・などというのは野暮な話ですが、この本は、そんな希望に満ちています。
ちなみに、クラフト・エヴィング商會は、他にも、「思う壺」「左うちわ」「堪忍袋の緒」などの品物も扱っているそうですよ。