堀内法律事務所のブログ「止まり木」にようこそ。

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秋はもみぢ葉

秋晴れの爽やかな日が続いておりますが皆様いかがお過ごしでしょうか。
今年も早いもので残すところあと2ヶ月余りとなりました。

秋の気配が色濃くなり、木々の葉も鮮やかに色づき始めました。

 

紅葉とカワセミ2

 

 

 

 

 

 

 

 

かの有名な良寛さんは、この世を去るにあたって、

形見とてなにかのこさむ春は花夏ほととぎす秋はもみぢ葉

と詠まれました。

わたしは何も残さないけれど、咲きそめる草花が、うたうほととぎすが、
もえるようなもみぢが、わたしの魂を映してくれよう。

そういうわけで秋はもみぢ葉。
もみじの俳句を集めてみました。

 

 

一枚の紅葉かつ散る静かさよ 高浜虚子

 

 

 

 

 

 

 

 

 

季語 「紅葉かつ散る」
紅葉したままの木の葉が落ちること
紅葉をする葉もあれば散る葉もある。
同じ木についている葉でも別々の行き方をする様子を表した句

 

このもよりかのも色こき紅葉哉 与謝蕪村

 

 

 

 

 

 

 

 

「こっちの紅葉より、向こうの紅葉のほうが、より色濃くて美しい」
などと言いながら、紅葉狩りを蕪村は楽しんでいたのでしょうか。

 

 

大紅葉燃え上がらんとしつつあり 高浜虚子

 

 

 

 

 

 

 

 

まさにもみぢ葉のクライマックスです!!

 

 

日の暮の背中淋しき紅葉哉 小林一茶

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日が暮れると、紅葉の赤い色が夜の闇に消えていく。
どんなに美しいものにも終りがある。

 

うらを見せおもてを見せて散るもみぢ 良寛

 

 

 

 

 

 

 

 

良寛さんが70歳になったとき、美しい尼僧の貞心尼がたずねてくるようになりました。
何と二人は40歳の年の差を超え、互いに想い合い、慕い合うようになり、
自分の心を素直に託した歌を送りあいました。
この俳句は、死期の迫った良寛さんが、駆けつけてきた貞心尼の手をとり、
耳元でつぶやいた歌だそうです。
「あなたには自分の悪い面も良い面も全てさらけ出しました。
その上であなたはそれを受け止めてくれましたね。
そんなあなたに看取られながら旅立つことができます」
という貞心尼に対する深い愛情と感謝の念が
この歌に込められているのではないかと、
光華女子学園のHPの「今月のことば」に書かれてありました。
いろいろな解釈がありますが、この解釈がいちばんぴったりきます。

 

参考資料:『良寛と貞心尼の恋歌』  新井満著 (株)考古堂書店
『蓮の露』 良寛の生涯と芸術 ヤコブ・フイッシャー著 近藤敬四郎・若林節子 訳

光華女子学園 HP https://gakuen.koka.ac.jp/archives/789

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